4.天日干し
干し作業に関しては、天日干しと陰干しで意見が分かれるところ。
日光に当てないとあの独特の色味が出ないという説もあれば、風通しの良い日陰で直接日に当たらないように干すべきというものも。
排気ガスとか気になるからいっそのこと部屋干し、なんて意見もある。
これに関してはべつにどっちでもええわ、乾けばええねん、とテキトーに狭いベランダで吊るせそうな場所に干し網を設置。
なんとこのためだけにAmazonで干し網を購入するという徹底ぶり。
そして結果的には直射日光バリバリ。
さぁボラ子たちよ
立派なカラスミになるんだよ
そう願をかけてひたすら干す。
ちなみに上段右のボラ子、整形ミスで太い血管部分がハシタナイほど丸見えに。
本来ならば血管が内側に隠れるように形を整えるのが正解。
見た目にもこだわりたい方には是非とも注意して頂きたいポイントだ。
干している最中は表裏をこまめに入れ替えるべきなのだが、なかなかそういうわけにもいかず・・・・・最低日に1回引っくり返せばいい方。
日が沈むころに取り入れて、冷蔵庫で寝かせる。
これをひたすら繰り返す。
そしてこれ↓が干し始めて4日ほど経過したボラ子
この段階までくるとようやくボラ子の表面が乾燥してやや硬くなり、取扱い時の緊張感が和らいでくる。
しかし中はまだフニャフニャ。
そんなこんなで1週間が経過するとかなり安定感が出てくる。
ようやくカラスミ一歩手前といった感じ↓
ここでトラブル発生。
写真の貼り付けが何回やっても縦にしかならない。
まあいいわ、別にビジュアル重視のブログでもないし。
そしてこの段階で長らく私を悩ませてきた腹皮とサヨナラ。
さらにカラスミらしくなってきたボラ子ちゃんたちを引き続き干す。
干し始めて10日目、ついに我慢の限界にきた私は「干し具合の確認」と称して一番小さなカラスミの端っこをつまみ食い。
ややレアで歯にネッチョリと絡みつく感じがあるが、それはそれで中々良い。
塩加減は絶妙だが、どちらかというと控え目なため長期の熟成には耐えられないかもしれない。
しかしこれ、端っこだけでは情報量少なすぎるわ
やっぱ一本丸ごと確かめてみないとね
得意の合理化で瞬時に嫁さんを丸め込むことに成功した私は、出来具合の確認という大義名分のもとすぐさま日本酒をスタンバイ。
おぉー、なんかそれっぽいじゃありませんか
お味の方もどうしてナカナカ、上出来じゃないでしょうか
止まらなくなった日本酒を急ピッチで注ぎながら次のカラスミに手をかけそうになった瞬間、嫁に後頭部をはたかれてようやく自分を取り戻した。
・・・どうやらオレは恐ろしいものを作りだしてしまったのかもしれんな
冗談はさておき、残りのカラスミはさらに干しを継続。
最終的に13日で終了とした。
あとは表面をアルコール消毒してオリーブオイル塗って真空パックして出来上がり。
ハイ、いつも通り雑な締めくくりで。
こんな汎用性の無い記事に最後までお付き合い下さった奇特な読者さんのために、全体を通じて気付いたポイントを付記して締めくくりたいと思います。
もしトライしてみようと思われた方がおられましたら御参考程度に。
<塩漬け、塩抜き>
この方法ではやや塩が薄い気がします。
これで十分おいしいのですが、長期で保存しようと考えるならもう少し塩が効いててもいいのかもしれません。
最初の塩漬けを1週間に延ばすか、塩抜きの日本酒交換をなくす、または薄い塩水につける工程を飛ばすのも一つかもしれません。
<腹皮>
卵がある程度乾いたら、できるだけ早めに腹皮を取るべきです。
なぜなら腹皮の付いていた部分は乾きにくく、さらに魚の身の生臭さが染みついています。
早めに取り去って十分に乾かしてから食べた方がおいしいです。
<名前をつける>
カラスミ作りの全工程において、常に不安がつきまといます。
例えばニオイ。
全体的にそこはかとなく臭いです。
生の時はもちろん、天日干しを始めてからも独特の臭いがします。
・・・・・腐ってるの?
途中で不安になる時があります。
そんな時も一人で悩まないでください。
私の場合、心の中でボラ子達を「臭美(クサミ)」と呼ぶことにしました。
すると臭いもあまり気にならなくなりました。
ただし本能に直接訴えかける臭いがした時は注意が必要です。
整形の段階でもやってしまいました。
カラスミは平べったい方がカッコいいというのが唐墨界の常識です。
そこで天日干しから取り込む際、冷蔵庫に入れる前に上からまな板を乗っけて体重をグイグイかけて平べったくしていました。
しかしカラスミが硬くなってきた頃に油断してしまい、力のかけ過ぎで一本のカラスミの卵を破いてしまったのです。
カラスミの側面からブリッと卵が飛び出してしまいました。
正直、今回のカラスミ作りの中で一番凹んだ瞬間です。
「破身男(ハミオ)」と名付けました。
少しだけ気持ちが楽になりました。
カラスミが乾いてくると表面に白い粉が付くようになりました。
・・・・・きっとアミノ酸かなんかの旨み成分だろう
そう思い込もうとするのですが、一抹の不安が拭いきれません。
・・・・・カビてるの?
中でも一本、粉が非常に目立つ個体がありました。
「粉吹郎(コブクロ)」と名付けました。
卵巣だけに中々いいネーミングだと思っています。
カラスミは干しの前後から、個体によって色味が変わってきます。
薄いオレンジ色のものから赤黒い色のものまで実に様々。
私の場合、一番デカい卵は物凄く黒っぽく仕上がりました。
カラスミが中国の墨に似ていることから唐墨と名付けられた、まさにそれを彷彿とさせる見た目です。
「雲古(ウンコ)」と名付けました。
決して見た目ではありません。
あくまで中華的に、です。
このように個体に名前を付けることによって愛着が湧きます。
1か月以上も苦楽を共にするわけですから、是非とも一つ一つに名前を付けて可愛がってあげてください。
なんかよくわからなくなりましたが、これにて唐墨日記終了です。
次回からまた取り留めのない雑記ブログに戻りますのでご容赦ください。。