仕事から帰ってふとリビングのテーブルを見ると、子供達が公文で借りてきた本が置いてあったのです。
何気なく手に取ってみると、なにやらキツネの話でしょうか。
なになに・・・・ん?
ババチョップのつくね?
じゃなくてチロヌップのきつね??
なぜだか胸がザワつきます。
はて、チロヌップチロヌップチロヌップ・・・・・
どこかで聞いたような・・・・・
あっ、オレこの本知ってるわ
小さいとき母親に何回も読んでもらったわ
おそらく35年以上は前のことでしょう。
当時の私はまだウチの長男くらいの年だったので、内容はすっかり忘れていました。
しかし表紙のホンワカぶりとは違って、なんだかひどく悲しい本だったような気がしたのです。
そういう目でもう一度絵を見直すと、お父さんでしょうか、鋭い目で後ろを振り返るキツネの表情がさらに不安を煽ります。
早速その晩、寝る前に子供達へ読み聞かせてみたところ・・・・・
やっぱり泣いてしまいました。
四十過ぎのオッサンなのに泣いてしまいました。
長女に泣いてるのがバレてひどく恥ずかしい思いをしました。
違うんだよ、父さん今お腹が痛くて泣いてるんだよ・・・・
必死で誤魔化しましたが、腹痛で泣くのも十分恥ずかしいということに今気づきました。
この本を読んでもらった幼少時代、自分はどんな受け止め方をしたのでしょうか。
なんとなく不吉な記憶が残っていたわけですから、おそらく悲しい話だということは理解していたのでしょう。
しかし今、子を持つ親としてもう一度この本を読んでみると・・・切実です。
以下、感想です。
物語は淡々と進みます。
キツネたちは擬人化されることなく、最後までキツネとして描かれています。
なのに、親キツネの気持ちが痛いほどよくわかるのです。
以上。
・・・・なんてヘタクソな読書感想文なのでしょう。
これ以上私がレビューすると名作を汚すことになりかねないので、是非ともご一読ください。
巷には多くの児童本が溢れていますが、やはり長きにわたって残り続ける名作にはそれなりの理由があるんだと再認識致しました。
長きにわたって忘れ続けていた私がエラそうに言ってみました。
このように、子育てをしていると遥か昔に出会って以降、忘却の彼方に追いやられていた懐かしの名作たちに再会できる可能性があります。
「エルマーの冒険」や「ぐりとぐら」や「きょうはなんのひ?」や「はじめてのおつかい」なんかの四番打者的な名作だけではありません。
名作なんだけど書店の目立たないところにひっそりと置かれているような、隠れた名作たちです。
そして不意にそういった懐かしの児童本に再会すると、何十年という月日を一気に飛び越えて、幼かった頃の記憶が押し寄せてくるのです。
まさにノスタルジーです。
ノスタルジック・チロヌップです。
言ってみたかっただけです。