パンダ組の日常

~だんご三兄妹をめぐるカオスな日常~

思ひでシリーズ 夏(というか虫)

梅雨だ。イヤな季節だ。

今梅雨ということは、もうすぐ夏がやって来るということだ。

夏は嫌いじゃないけど・・・・・もれなくヤツらがついてくる。

というか、もうチラホラお目見えしている。

 

・・・・・虫

 

シツコイようであるが、私は虫が大の苦手である。

なかでもハネを持つ虫はすべて無理(飼っていたオオクワガタは例外)。

その中でさらに柔らかそうな胴体を持つヤツは・・・唯我独尊とは重々承知の上マジで絶滅してください。虫好きの方ごめんなさい。

 

というわけで久々の登場、思ひでシリーズ。

今回は虫です。

 

 

以前ご紹介したとおり、二度目の学生生活は〇✕県という田舎、というかド田舎、というか辺境の地桃源郷でございました。

田舎の虫の特徴として種類や数が多いことは容易に想像がつくのですが、もう一つ忘れてはならない傾向があるのです。そう・・・

 

不必要なまでにデカい

 

とにかくデカいやつが多いんです。

〇✕県での6年間は本当に楽しい思い出がいっぱいなんですが、虫嫌いの私にとって、この季節だけは心の休まる時がございませんでした。

 

朝起きて学校へ行くために玄関のドアを開けてから帰ってきてドアを閉めるまでの間、全神経を集中させなければなりません。どこで何に遭遇するやらわかったものじゃありませんから。住んでいたマンションの自動販売機の周りには、夜のうちに光に集まってきた蛾やらカナブンやらカブトムシのちぎれた頭やらがよく転がっていたものです。

 

一度、見たことも無いようなデカ黒い蝶の親玉がドアの真ん前に落ちていたことがありました。危うく踏み潰しそうになるところを華麗なステップで回避、もう一度家に飛び込みたい衝動に駆られましたが、そのためには再度ヤツを飛び越えなければならないことに気付き、そのまま後ろを振り返らずに駐車場まで猛ダッシュしました。その日は一日中ヤツのことが頭から離れず、とてもじゃありませんが授業に集中なんてできませんでした。だって帰ったらまだ落ちてる可能性が高いわけですから。生きてようが死んでようが、とても戦える相手ではございません。結局風にでも飛ばされたのか、恐る恐る帰ってみると奴の姿は消え失せておりましたが、そういう危ないトラップがそこかしこに仕掛けられている危険地帯であることがおわかり頂けたでしょうか。

 

家の中にいれば安全、というわけでもございません。ヤツらにはどんな厳重な戸締りも関係ありません。ある日のこと、外出先から帰って洗濯物を取りこもうとベランダの窓に近づいたとき、言葉では表せない違和感を感じたのです。虫嫌いの人間だけが持つ第六感ってやつです。

 

・・・・何かいる

 

ちょうど逆光になっていてよく見えなかったのですが、まぶしい目をこすりながらカーテンを凝視したところ・・・・・なぜかわかりませんがトノサマバッタがへばり付いていました。ただのトノサマバッタではありません。トノサマバッタの殿様です。都会で見かけるバッタの優に倍以上の大きさです。仮面ライダーの祖先がコイツであったことを思い出させるのに十分な迫力です。

 

虫を見つけるとIKKOさながらのオネエキャラで絶叫するのが通常なのですが、その時ばかりはあまりの意外性に虚をつかれたといいましょうか、完全に心がくじかれてしまいました。死を覚悟して明鏡止水の心境といったところです。戦うことを即座に放棄した私の心に浮かんだ決意、それは・・・・

 

引っ越そう、今すぐに

 

そのまま回れ右をして玄関から家の外に出たところでようやく我に返り、引っ越すにも結局家の中に入らなきゃいけないからダメじゃん、と気づいた私はすぐさま、当時まだ彼女という立場であった今の嫁さんに電話で助けを求めました。今すぐ来て、でなきゃもう二度と会えないかもしれない、と。

 

何事かと車を飛ばしてやってきた彼女に涙ながらに事情を打ち明けたところ、なんだそんなことかとズカズカ家の中に入って行き、レジ袋でヒョイっとバッタを捕まえるとあっという間にベランダから外に放り出してくれたのです。一部始終を背後から見ていた私は、まだ少年だった頃に田舎へ泊まりに行った際、突如出現したゴキブリに泣き叫ぶ孫達を守るため素手でソレを叩き潰していた婆ちゃんの背中をふと思い出したのです。年寄りってスゲーなゴキブリ素手だもん、なんて思ってたら、後日母親から「実はお婆ちゃん、ゴキブリ大っ嫌いなんよね」と聞かされた時の衝撃は今でも鮮明に私の脳ミソに刻み込まれています。やっぱオトナはすごいんだ、俺もオトナになったらあんな風になれるかな・・・って全くなれませんでしたね、テントウムシが限界です。

 

話がそれましたが、そんな逞しい彼女の背中を見つめて「一生この人についていこう」って思ったのは事実です。そして現在に至ります。

 

以上、私たちが結婚を決めた理由でした。

なんかテーマが変わってる気もしますが、そろそろ飽きてきたのでこの辺で失礼させて頂きます。