しつこいようですが、父は虫が大嫌いです。
しかし、子供が捕まえてきた虫を家で飼うことを無下に拒むほど器量の小さい男でもございません。
飛ばない虫ならば、という条件付きですが。
なので今、我が家にはユミアシゴミムシダマシがニ匹います。
クワガタのメスとゴキブリのハーフみたいな虫です。公園で捕獲しました。
最初は四匹いたのですが、一匹は自然死、もう一匹は脱走しました。
その脱走したユミアシゴミムシダマシー長いのでユーミンと略しますーそのユーミンなんですが、結局数日後に玄関のドアで見つかったんです。嫁が知らずにドアを閉めた際、プチッという音がしたので見てみると・・・・・あとはご想像にお任せします。半年以上前の出来事です。
ここからが本題です。
今朝、皆で食卓を囲んでいる時に偶然ユーミンの話になったんです。あと何匹いるんだっけ?みたいな。
そしたら長男の頭の中にドアでプチッとされた哀れなユーミンがフラッシュバックしたようで、唐突に母親を激しくナジり始めたんです。
カッと目を見開いて、まっすぐに母親を指差しながら。
嫁はもうタジタジです、どんな顔をしたらいいのかわからずに。
横で見てる父もタジタジです、どう突っ込んだらいいのかわからずに。
ある程度長男の糾弾が続いたところで、ようやくパンダ組組長として事態を収拾すべく、父が割って入りました。
「もうやめろ長男、母さんはワザとやったわけじゃない。あれは悲しい事故だった。
済んだことを責めるよりも残った二匹を大切にしてやろうじゃないか。
それより何より・・・・・人の顔を指差すのはやめろ、しかも小指で」
言い切った後で父爆笑、続いて嫁も爆笑。
長男はなぜ笑われているのかわからずに、立てた小指を呆然と眺めておりました。