パンダ組の日常

~だんご三兄妹をめぐるカオスな日常~

思ひでシリーズ 出産その1 戦慄の長男編

久しぶりの思ひでシリーズ。

今回はお産。

記憶が薄れる前に三兄妹のお産の様子を記録しておこう。

 

 

 

・・・・・・・前回同様やっぱり薄れてました。

まあいい、今回も覚えてる範囲でいっとこう。

 

 

 

とにかく嫁は超安産タイプだったのです。

どれくらい安産かというと、初産の時ですら分娩室に入ってから二十分ほどでプリッと出てしまいました。

ちょっと便秘キツめな人の一仕事といい勝負です。

でもこの超スピード出産で何度も危ない目にあったわけですよ・・・・・

 

 

長男のときは、陣痛が規則正しく10分間隔になったあたりでかかりつけの産婦人科につれて行きました。初産のセオリー通りです。

真夜中に先生をたたき起こして診察してもらったところ、まだ子宮口は開きかけの序の口だから一旦帰る?的な軽いノリだったんです。

もう真夜中過ぎだし、今から帰ってまた来るのも面倒だから入院させてもらえるとありがたいんですが・・・・・ダメ元で言ってみるとアッサリOK。先生曰く、でもこれじゃあまだまだ、お産は明日の夕方以降かな、と。

 

その先生、かなりご高齢の百戦錬磨感漂うおばあちゃん先生だったんですが、さすがに経験値高そうだからおっしゃる通りきっとまだ1日くらいかかるんだろう、でもまあ初産だから念には念を入れとこう、ということで私達は古びたクリニックの二階に案内されたわけです。

 

二階の個室に入って一安心、早速嫁をベッドに寝かせると、私も備え付けのソファに腰を下ろして持ってきた本を読み始めました。もう深夜3時4時だったと思います。

ベッドに横になって1時間ほど過ぎた頃でしょうか、嫁が痛い痛いとやたら自己主張しだしたのです。

しかし先ほど先生の診察を受けたばかり、なおかつお産は夕方以降だとハッキリ言われたわけですから、私は不覚にもすっかり安心しきっていたんです。

 

こっちだって明日は一日仕事になりそうなんだからちょっとは寝かせてくれよ、なんて思いながら片手間に嫁の腹をさすって本を読み続けていたんですが、そのうちに痛がり方が尋常じゃないというか、もはや絶叫系に変わってきたんです。

 

オイオイオイ、本番はまだまだ先だってのに今からこの痛がり方で大丈夫なのかよ?コイツちょっと痛みに弱いんとちがうの?

 

腹の中では思っていますが決して口には出しません。しかし後日嫁に聞いたところ、あまりにも片手間な腹のさすり方と軽すぎる大丈夫?の口調から、アンタが何を考えているのか手に取るようにわかったわ、と恨み言を言われました。

ですが、誰しもあの状況では同じことを考えるのではないでしょうか。

 

しかし、もはや全盛期のマイケルジャクソンが憑依したイタコの様に体を弓なりにしてのたうち回る嫁を見るに忍びなくなった私は、まだ夜も明けきらぬ薄暗がりの中、病室を出て詰め所まで看護師さんを呼びに行ったんです。あの~なんか様子が変ですけど大丈夫ですよねー??って。

 

様子を見に来てくれた看護師さん、一目で表情が変わりましたよ。

病室に入った瞬間即回れ右して退室、すぐにパタパタと複数の足音がしたかと思ったら、例のおばあちゃん先生を連れてきたんです。

 

おばあちゃん先生は嫁の様子を一瞥すると、診察もせず看護師にすぐ分娩室へつれて行くよう指示しました。その間私はキョトンとして立ち尽くすのみです。

分娩って夕方以降ちゃいますのん?まだ早朝もいいとこなんですけど??

 

もはや自力で分娩室(ほぼ隣接している)にすら歩けない嫁を左右から看護師が抱きかかえ、ご主人はここで待っていてください、と言い残して病室のドアをバタンと閉じられてしまいました。

 

オレ、なんか悪いことした雰囲気になってませんか?

先生からも看護師からも、アンタ横についてながら何してたんよ的な無言の非難を感じたんですけど?

 

嫁の痛がり方が本物だったことを知った私はそりゃあもう後悔しましたよ。もっと早くに先生を呼んでやれば良かった、もっと優しく腹をさすってやれば良かったってね。

・・・・・まぁでも先生だって予想外してんじゃん、とも思いましたけどね。

 

不安な気持ちで一人病室で待機してたのですが、ものの10分程度ですぐに看護師さんが呼びに来ました。ご主人も分娩室にお入りくださいって。

 

ドキドキしながら分娩室に入ってみると、もうすでにクライマックスが近いのか「ハイ次の一回で出しちゃうよ~」的な先生の掛け声が耳に飛び込んできました。

おっ、先生予想外して気まずいのか、気合入ってるね~!

私は嫁の頭側で見守るよりほかありません。そしてほどなく・・・・・オギャアと誕生致しましたよ、元気な男の子です。

 

 

以上が第一子誕生の感動的秘話です。

あの時帰らずに入院させてもらって本当に良かった。

 

後日母子共に無事退院する際、おばあちゃん先生が念を押すように私に言いましたよ。

「この人(嫁)、すごく早いタイプだから二人目の時は気を付けなさい。だいぶんと早めに連れてこないとダメよ」

「わかりました、次はもっと早くに連れてくるようにします」

オトナな私は、あわや一旦帰宅させられそうになったことにはもちろん触れません。

和を以て貴しとなす、です。

 

 

だけど第二子出産時、さらなる恐怖が待ち受けていることをこの時の私達は知る由もなかったのです。 その2につづく

 

                             「パンダイチ中年の事件簿」より