パンダ組の日常

~だんご三兄妹をめぐるカオスな日常~

思ひでシリーズ 出産その2 震撼の長女・慟哭の次女編

長男の出産エピソードは私達夫婦、特に私にかなりの恐怖心を植え付けました。

お産侮るべからず。

 

この経験を胸に刻み、長女出産前はかなり神経を張り詰めて様子を伺っていました。

兆候があればすぐに病院につれて行く(長男と同じ医院)、仕事で私がいない時はすぐに専用タクシーを呼ぶように、嫁とぬかりなくシミュレーションを繰り返しておりました。

 

そして忘れもしないとある真冬の平日、朝起きる前に嫁が「なんとなく規則正しく張ってきたかな、間隔はまだまだだけど」と報告してきたんです。

 

よしよし、これなら一旦仕事に行って(その時職場は家から車で10分程度の近場でした)パーッと指示出してサーッと見回って帰ってくるくらいの時間はありそうだな。それでも前回よりは格段に早いはず・・・。

そう判断した私は始業前の職場に早々に乗り込んで、できる限りの仕事を済ませておくことにしました。目論見では行って帰って1時間以内。

 

朝食もそこそこに車を飛ばして職場に到着。

色々と雑用を済ませているうちに30分くらい経過したところで突然、携帯電話が鳴ったんです。

着信表示はもちろん嫁、イヤな予感しかしませんでしたよ。

 

恐る恐る通話ボタンを押すと案の定、トイレでウンコしながらかけてきてるのかと思うほどにイキんだ嫁の声が・・・・・

 

「もうあかん・・・間隔がスゴく短くなってる・・・・・今ソファで寝てる」

 

マジかよマタですかこの急展開。

 

とりあえず何とか耐えろと言い残して電話をポチッと切ると、後のことは全部放っぽって車に飛び乗り自宅へ猛ダッシュです。

 

家につくと予想通り、嫁がソファでウンウン唸っています。

どれくらいの間隔か聞くと「わからん、もうずっと痛い」なんて恐ろしいことを言うんです。

すぐ近くに住んでいる姉に長男を託すと、陣痛と陣痛の短い合間を縫って何とか嫁をマンション前に停めてある車まで運びました。わずか20m程度の距離ですが、途中で何度もうずくまるレベルです。

 

車に乗せて医院に到着するまでの約15分間、こんなに長くもどかしく感じた15分はありませんでした。

あとから嫁に聞いたんですが、私はずっとよくわからん冗談を言ってエヘヘヘヘと笑っていたらしいです。

 

でも正直、頭の中では静かに静かに覚悟を固めていたんです。

オーケー大丈夫ダイジョウブ、イザとなったら車を路肩に停めてオレが赤子を取り上げてやる、ヤッテヤルヨ・・・・・・たぶん大丈夫だ前に見たことあるし・・・・「次の一回で出すよ~」的な大声を上げればあとは何とかなるんじゃねーか・・・・・・・・ならねーか・・・・・・・・・誰か助けて下さい

 

結局嫁の踏ん張りと法定速度を無視した私のドライビングテクニックのミラクルコンボにより、なんとか車中出産という笑えない事態を回避して例の産婦人科までたどり着くことができたんです。

事前に嫁がソファーで唸りながら産婦人科に電話をかけていたらしく、玄関に車を止めるや否や中から看護師と先生がワラワラと飛び出してきました。もう完全にVIP扱いです。

 

先生は助手席で動けなくなっている嫁を一目見るなり「なんでこんなにギリギリになってんの!?早めに連れてくるように言ったでしょ!」と低い声でお叱りになりました。もちろん私に向かってでしょう。

「すいません、これでも相当早く動いたつもりだったんですが。今回もこちらの予想を遥かに上回るスピードで進行してしまいまして・・・・」

私がゴニョゴニョ言ってる間に看護師達が嫁を助手席から降ろし、そのまま医院の中に消えていきました。もちろん分娩室へ直行です。

 

まただ・・・・・・

またオレのせいになってるよ・・・・・

もうどうでもいい、無事に産まれてさえくれれば・・・・・

 

結局無事に産まれたんですけどね。

相も変わらず分娩室に入って20分以内の短時間勝負でした。

元気な、けれどもかなり小さめの女の子でした。

 

これが長女誕生秘話です。

 

 

ちなみに次女の時は別の意味で悲惨でした。

 

今までの教訓を生かして、少しお腹が張るけどまだ全然規則的ではない、というかなり早期の段階で病院につれて行ったんです。上二人と同じ医院に。

 

さすがに先生もえらく早くに来たわねーって感じだったんですが、なにせ前科二犯ですから。

本来なら100%帰らされるものを、過去の実績を高く評価されてすぐに受け入れてもらえましたよ。

たしか15時くらいに入院したんですが、これはさすがに早すぎたと思った私は、そこから自転車で20分程度の職場に一旦戻ったんです。ちょっとしたカンファレンスに顔だけ出しておこうと思って。17時には終わるから、そっからチョチョイと雑用を済ませて帰ってもまだまだ十分余裕ありすぎるだろうって。

そしたら17時過ぎに突然医院から電話がかかってきたんです、今分娩室に入りましたよって。

入りましたよって・・・・・エェェ!?

 

そっから猛ダッシュで自転車にまたがって病院に直行しましたよ。

でもわかってたんです、あの嫁が・・・・しかも三度目の出産で・・・・・20分持つわけねーだろって。

案の定医院に到着して分娩室に飛び込むと、すでにきれいに体を拭かれてタオルにくるまれた状態の赤ちゃんをそっと差し出されましたよ。

 

次女だけお産に立ち会えなかったことは、今でも思い出すと胸がギューッとなります。

 

でも三人ともなんだかんだで無事に産まれてくれて、さらにおそらくは超安産な部類に入るわけですから、これ以上は贅沢ってもんです。

 

なにが言いたかったかと申しますと・・・・・

お産のスピードは人それぞれです。

事前計画をしっかり立てて、病院への連絡はお早めにねってことですかね。