※この話はノンフィクションです
ホラーの苦手な方や心臓の弱い方はご遠慮ください
あれはまだ私が〇✖県で学生をしていた頃の話です。
とある休日の午後。
当時彼女であった今の嫁さんを助手席に乗っけて、行き先も決めず適当に車を走らせていました。
なんせ〇✖県は秘境のため、ちょっと足をのばせばいくらでも良い景色が拝めるのです。
どこをどう走っていたのかはすっかり忘れてしまいましたが、とにかく山間の見晴らしの良い道路でした。夕日が正面に見えて眩しかった記憶があるので、おそらく西向きに走っていたのでしょう。
やがて車は真っ直ぐな上り坂にさしかかかりました。
やや勾配のキツい上り坂です。
周囲は草っぱらで何も遮るものが無く、正面から西日が降り注ぐため思わず目をしかめる眩しさでした。
そこで・・・・・私は見たのです。
坂の中腹あたりになにやらうごめく黒い影。
逆光で輪郭しか見えませんでしたが、どうやら人が坂を上っているように見えます。
車はグングンと人らしき物体に近付いていきます。
最初は特に何も感じず、見るともなくその近づいてくる影をボーっと見つめていました。
しかしその物体が近付くにつれて、私の中に言いようのない違和感が増幅してきたのです。
何かがおかしい・・・・・
次の瞬間、私の感じていた違和感の正体がはっきりしました。
そう、人間にしては小さすぎるのです。
人の半分くらいの大きさ。
さらにソイツは小さいだけでなく、明らかに形がおかしかったのです。
そう気づいたは私は眩しくて細めていた両の眼を刮目し、その物体を凝視しました。
そして絶句しました。
なんと、歩いていたのは人の下半身だったのです。
上半身なし
下半身だけ
Not 上半身 But 下半身
パニクッた私は助手席の嫁(になる人)に大声で何やら叫びながら黒い物体を指差し、同時にアクセルを目一杯踏み込んで大回りにソイツを抜き去りました。
嫁さんは相当怖かったと思います。
運転手が急になにか指差して訳の分からんことを叫びながらアクセルふかして蛇行したわけですから。
歩く下半身を抜き去った私は、湧き上がる恐怖心を必死に抑えつけて嫁に聞いたのです。
「・・・・見たよな?」
「なにを?」
「なにをって、今下半身だけ歩いとったやないか!!」
「は?・・・・もしかして、今歩いてたおばあちゃんのこと?」
「ちがう!!下半身や!!!」
「なに言ってんの?おばあちゃんやん、腰が直角に曲がってるおばあちゃん」
「・・・・腰・・・・直角・・・・」
坂道をゆっくりと上るお婆ちゃん。
その腰は90度近く曲がっている。
その腰の曲がりと坂の傾斜角がなんかうまい具合に一致してそれを坂の下から見上げた私の視線の延長上に並んでそこに逆光が加わることで詳細がぼやけて・・・・・・
謎はすべて解けた!!
いやホントですって、盛ってませんよ
そりゃ多少の脚色はありますけどね
でもホントにビビったんですから
嫁に聞いてもらえばわかりますって
誰か私に座布団を下さい