新年早々風邪を引いた。
実家から帰って以降、正月は断固どこへも出かけたくないオーラを全身に纏い、近くの公園へ散歩に行く以外の全てを拒絶して家の中でダラダラと過ごしていた。
・・・・子供達よ、スマンヌ
ゴロゴロしながらテレビを見ていると、ニュース番組かなんかで年末年始も休まずにずっと診療を続けている開業医が特集されていた。
なんでもその昔大学の救急部でバリバリ働いていたお医者さんであり、「断らない医療」をモットーに、クリニックなのにバンバン救急車を受け入れている猛者らしい。
大晦日の夜まで外来診療をして、やっと終わったと思ったら今度はCPA(心肺停止)患者の受け入れ要請があり、それも引き受けて心臓マッサージやらなんやらの心肺蘇生をして最後の看取りを終えるともう真夜中でしたよ、明日は元旦だけど普通に診療でっせ、みたいな流れ。
そこで一旦CMに。
知らぬ間に入っていた肩の力を抜く。
いやぁ、これこそ医者のカガミですな
そんなことを思いながらふと横を見ると、いつになく真剣にテレビを見つめている長男と長女(次女は難しすぎて興味なし)。
おや、オマエたち意外とこういうの興味あんの??
それならば、とチョットだけ父の威厳を誇示してみることにした。
曲がりなりにも私の診療科においてCPA対応は必須の業務である。
「なぁなぁ、実はお父さんも仕事でこんなことしてんねんで」
その時の長男長女の表情が忘れられない。
テレビに釘付けのまま長男は目を丸く見張り、長女は言葉を失ったように驚愕している。
(長男・長女)「・・・ホンマにこんなんしてるの!?」
(父)「おうホンマや、一応ちゃんと働いてるねんで」
(二人で顔を見合わせて)「ホンマに???ウヒヒヒヒヒ」
そうそう、お父さんだってちゃんとね・・・・・・えっ?ウヒヒヒ??
なぜ笑う???
そこでテレビに目を戻すと・・・
私が「こんなことしてんねんで」と言ったまさにそのタイミングはCM中。
クボタのトラクターかなんかの宣伝で、長澤まさみを先頭に浮かれた集団が田んぼのあぜ道を踊り狂って行進していた。
ハッピとか着て。
阿波踊りみたいなやつ踊って。
まさか・・・お父さん仕事でこんなことしてんねんでって・・・・
・・・踊ってるって思ってません?
「お父さん、こんなんして踊るのが仕事なん???」
・・・・やっぱ思ってました。
それ以来、子供達はクボタのCMが流れる度にニヤニヤ笑いながら
「これお父さんの仕事やで」
と囁き合うようになった。
もうどうでもいい。
父の仕事を理解してくれる必要もない。
ただ・・・・
外で変なこと口走るのだけは絶対ヤメテくださいお願いします