自分の殻を破らなければ見ることができない景色というものがある。
あるいは、一人で生きていたなら絶対見ることがなかったであろう景色。
それを誰かと交わることで期せずして目にすることもある。
掃除機のコード。
引っ張り過ぎによる断線防止のため、ある程度コードを出すと黄色いテープが出てくることはご存知だろう。
まだ幼かった頃、母親から黄色いテープが出てきたらそれ以上決して引っ張っちゃダメ、速やかにコードを巻き戻しなさいと教えられたものだ。
以後、私は律儀にそれを守ってきた。
この歳まで。
先日、妻がものすごい勢いで一心不乱に掃除機をかけていた。
ふと下を見ると、掃除機からのびるコードに黄色いテープが。
いっ、いかん!
慌てて嫁さんに声をかけた。
しかしガンガン掃除機をかけてる嫁さんの耳には入らない。
近付いてさらに大きな声で呼びかけてみた。
「おいおい、黄色いテープ出てんじゃ・・・・」
その時私は見たのだ、その先の景色を。
黄色いテープのその先にある赤いテープ。
自分の殻を破れなかった私が見たことのない景色。
妻と関わったことで初めて目にした景色。
・・・えっ?
大袈裟って??
だってホントに知らなかったんだもん、まさか黄色いテープが「注意」でその先に本気の「警告」があったなんて。
むしろコレ知ってた人いるの?
いたら相当イケイケだと思うんだけど。
正直本当に感動したのだ、私は。
世の中知らないことだらけだって。
胸の中を一陣の風が吹き抜けた感じ。
草原の中で風を浴びて立っているような清々しさ。
わっかんねーかなー
わっかんねーだろーなー
とにかく、だからイケイケの嫁さんに感謝したのだ。
まだ見ぬ景色をありがとうって。
だけど壊れたらオマエ持ちなって。
と、ここまで書いてさらに驚愕の事実が。
気になって調べてみたところ、なんと黄色いテープは「注意」ではなくて「ここまでコードを出して使いましょう」という意味合いらしい。
モーターの熱からコードを守ったり火事になったりするのを防ぐためだって。
ちなみに赤いテープはそのまま「これ以上引っ張るな」という警告でいいのだと。
知らなんだ、40年以上生きてきて黄色いテープの本当の意味も赤いテープの存在も・・・・
嫁さんのお陰でまだ見ぬ景色がどんどん飛び込んでくる・・・・・
一体どれだけ見知らぬ景色が広がっていくというのだ・・・・・・
ま、今回は例えがアレだけど。
なんとなく自分に関わる人を大切にしようって思ったって話。
みんな、愛してるぜ
そしてお誕生日おめでとう