パンダ組の日常

~だんご三兄妹をめぐるカオスな日常~

子の習い事、揺れる親心

今回は少し真面目な話。

というか悩み事。

長男の習い事に関するグチみたいなもんだ。

 

 

長男は幼稚園の頃からサッカーを習っている。

父母の勤務の都合で、園終了後もホームクラスに残らなければならない曜日があったから。

そんな日にただお遊戯しながら待っとくだけ、というのも芸が無い。

どうせなら、ということでその幼稚園が主催しているサッカークラブに入会させたのだ。

 

サッカーを始めてかれこれ三年。

 

正直あまり上手くなっていない。

なんというか、体の使い方がぎこちない。

体幹がブレるというかステップが重いというか。

もちろん始めた頃からしたらちょっとは上達している。

だけど周りの子たちはもっとグイグイきてる。

それに比べたら・・・・

 

 

実は今まで何度もこの件について注意してきた。

もちろんスポーツには合う合わないがある。

上達の速度も人それぞれだ。

だけど残念ながら息子の場合、練習に熱意を感じることができない。

先生が話していても隣の子とおしゃべりしている。

上手い子をよく見て真似するどころか、自分の番以外は土いじりして遊んでる。

サッカーが楽しいというよりも、サッカー教室で友達に会えるのが楽しそう。

ま、それはそれでいいんだけど。

そして何より、自分よりヘタクソだった友達がグイグイ伸びていってもあまり焦りを感じていない(ように見える)。

だから当然、試合になっても点を取りにいく意志を感じない。

きっと上手い子たちが何とかしてくれるだろう、みたいな。

 

父と母で何度もこの点、練習に対する姿勢について注意をしてきた。

それができないならもうやめてしまえ、と。

それでもどうやらサッカーは好きなようで、「やめない、がんばる」とのこと。

だから今までダラダラと続けてきた。

 

 

先日、サッカーのお迎えに近くの公園まで出向いた。

いつもより早めに着いたため、しばらく練習を見ていた。

どうやら試合形式でチーム戦をしていたらしい。

 

上手な子たちが先頭をきってドリブルしたりパスを出したり。

その後ろを他の子たちが必死に追いかける。

そして最後尾には長男。

ボールにはほぼ一回も触れていない。

ただゆっくりと走っているだけ。

そしてその顔は・・・・・うっすらと笑っていた

 

 

練習後二人で帰り道を歩いている時、父の表情に気付いた長男が自分から先に言った。

 

「もうさ・・・・全然触れないねん、ボールに」

 

 

そりゃそうだ。

みんな三年前に比べたら格段に上手くなってる。

もちろん上達の遅い子もいるけど、それでもやっぱり上手くなってる。

 

「おまえさ、なんでボール触れないかわかるか」

「うーーん、練習マジメにやってないから?」

 

 家に帰ってから長男に言い放った。

 

「おまえ、もうそろそろサッカーやめろや」

 

首を横に振る長男。

それでも畳みかける父。

いつもと違い、今回は至って冷静に。

 

「今まで何回もやめろやめろ言ってきたけどな、今回はちょっと違う。今まではお前に期待してた部分もあったからきつく言ってきたんや。なんだかんだ言って真面目にやってくれさえすれば上手くなるんちゃうかなって。だけど三年経って周りはどんどん上手くなって、だけどお前はもうボールにすら触らせてもらわれへんようになって。多分これ以上続けてもお前が惨めになるだけや。この調子やとどうせもうすぐ入ってくる幼稚園上がりの子達にもすぐに追い抜かれるやろうし。でもお前、全然悔しそうちゃうやん、みんなに追い抜かれていってるのに。そのくせに真面目に練習してるって自覚も無いんやろ?一生懸命やれるってのも立派な才能なんやで??お父さんたちだってサッカーだけで週4回も送り迎えしたり休日潰して試合に連れて行ったり、正直しんどいねん。一生懸命やってくれてるんやったらなんぼでも手伝うつもりやけど、目の色変えて打ち込めないスポーツにこんだけの労力を払うのはちょっとな、虚しいわ。お前、空手の方が楽しそうにやってるやん。どうせもう少ししたらどっちかに絞らなあかんと思ってたとこやし、いい機会やからサッカーやめて空手の回数増やそうや」

 

 

自分でも小学一年生に対してかなりキツいことを言ってるのはわかっていた。

だけどいくら一年生とは言え、遊び気分は遊びの時だけで十分だ。

一生懸命に打ち込む姿勢はすべてに通じる。

まだ小さいからできなくても仕方がない、というのとはちょっと違う。

むしろ変な姿勢が定着してしまう前にさっさとやめさせてやるのが親心ってもんだ。

 

貴重な時間とお金を払ってでも、将来子供たちが少しでも有利にこの世の中を渡り歩いていけるだけの武器を持たせてやりたい。

そのためには色々試さねばならない。

本気になれないサッカーにいつまでも固執して機会を損失させるわけにはいかない。

体づくりはサッカーでなくてもできる。

それなら空手をもっと頑張れ。

スイミングをやってみてもいい。

 

 

この件に関しては私と全く同意見の嫁。

 

「三年続けたんだから途中で投げ出したってわけじゃないし。一生懸命になれなくて周りに置いてけぼりにされるくらいならもう潔く辞めちゃいなさい」

 

むしろ私より強くやめさせようという意志を感じる。

音楽一家の嫁さんはきっとピアノか何かを習わせようと画策しているに違いない。

 

 

考え込む長男。

 

しばらくしてはっきりと一言。

 

 

「やっぱりやめたくない」

 

 

顔を見合わす父母。

お互い眉間にシワが寄ってるが、内心わずかにホッとしたのもまた事実だ。

 

「だけどお前、何回言っても遊び半分やんか。そんなんで続けても絶対に上手くなれん。むしろみんなに置いてかれて寂しい思いするだけや、やめときなさい」

 

「いや・・・・・ちゃんと頑張れる」

 

息子の言葉を信じてやりたいのはやまやまだが、過去に何度同じことを注意しても大して変わらなかったのもまた事実。

すんなり「はいそうですか」では示しがつかないし、かえって人生を舐めてしまうだろう。

 

しばらく考えて、こう提案してみた。

 

「そんなにサッカー続けたいならお前も何かを我慢しろ。そうやな・・・・ゾイドワイルド(恐竜のオモチャ)、誕生日プレゼントに欲しいって言ってたゾイドワイルドを我慢しろ。今年のお前の誕生日プレゼントは「サッカーを続けられること」や。それでもサッカーをとるっていうんやったら続ければいい」

 

一瞬長男の目が泳いだ。

そして即答。

 

 

「わかった、ゾイドはいらん。サッカー続けるわ」

 

 

長男が本当にサッカーを好きでやめたくないと思っているのか、それとも売り言葉に買い言葉で引くに引けなくなっているだけなのか・・・・なかなかに判断の難しい局面だ。

だけどやっぱりやりたいって思ってるのだとしたら、例えヘタクソでも続けさせてやりたいのが親心。

こっちだって別にサッカー選手になって欲しいわけじゃない。

試合で1点も取れなくても、それどころかボールに触ることすらできなくても、真剣な目つきで精いっぱい頑張ってる姿さえ見せてくれるならどこにだって応援に行くし、毎週休日を返上したって惜しくない。

 

そうでなければ辛くてもタオルを投げてやるのが親の仕事だ。

 

 

 

 

 

 

子供の習い事は難しい。

 

練習の時、上手な子の後ろをうっすら笑いながら走っていた長男。

 

その時笑っていた息子の心情を思うと胸が苦しくなる。

 

 

笑っていた理由がどちらであったとしても。

 

 

  

子供の習い事は本当に難しい。