約35年ぶりに読書感想文でも書いてみようか
昔は本が好きだったけど、最近はほとんど読まなくなった
よく読んでいたのは明治~昭和初期あたりの作品
独特の雰囲気というか浪漫があるというか、なんとなく好きだった
だけど今となってはもう堅苦しいのは無理
気軽に一気読みできる本ばかりに手を出してしまう
そんな中で最近、とは言っても数年前に読んで雰囲気が好きだった本がコチラ↓↓
これはもうなんというか・・・・グッときた
もともと私、少しズレてるところがあるじゃない?
それはもうブログ読んでいただいてたらわかると思うんだけど
そんな私だからこそ、主人公の「冬子」にはグッときた
ボインでパツキンな美少女ちゃんがパンチラしながら剣とか杖とか振り回してるような現実離れした話、そんなんには一切反応しない
だけど三十路過ぎの内気でヒッキーで若干アル中?なこの「冬子」には完全にやられてしまった
ネタバレ覚悟で軽くあらすじをご紹介するとこんな感じだ
出稿前の原稿に誤植やストーリーの矛盾が無いかをチェックする「校閲」という仕事
主人公の冬子はその校閲を生業とする三十路過ぎの冴えない独身女性だ
おまけに内向的で引きこもりがち
ただでさえ交友関係が狭い上に、勤めていた出版社を辞めてフリーランスの校閲者となることを選んだ冬子は、ますます引きもりに拍車をかけていく
さすがにこれではいけないと思ったのか、ある日突然近くのカルチャーセンターで定期的に開催されている講座を受けてみようと思い立つ
ちなみに受ける予定の講座は数ある中から適当に選んだ「世界の悲劇史入門」
これを選択してる時点で私のツボにハマりまくりだ
しかし「人前に出る」という行為に極端に緊張する冬子
そこで最近覚えたアルコールの力を借り、朝からキメキメの泥酔状態で受講手続きのためにカルチャーセンターへと赴く
センターで受け付けの順番を待つ間、ブラックコーヒーを飲んで突然ゲロを吐く冬子
私も時々やってしまうのだが、泥酔にブラックコーヒーは禁物なのだ
この点でも冬子に共感しまくり
ゲロをぶちまけながらトイレに駆け込もうとする冬子
そこでトイレから出てきたこれまた冴えない中年男性「三束(みつつか)さん」と出会う
出会うというか、ゲロをかける
そこから物語が始まるわけだ
ちなみに三束さん、年齢は50代後半
高校の物理の教師らしい
描写からは「ザ・おっさん」て感じの中年
それ以外の情報はほぼ無し
さて、これ以上はネタバレになるので自主規制
続きが気になられた方は是非ご一読を
ま、こんな紹介文で興味を持たれた方がおられたら、それはそれで相当ヤバい気も・・・
しかしこの小説、最初から最後まで実に暗い
いや、暗いというよりは静か、静寂
だけどそれがまたいい感じ
人生において決してスポットライトを浴びるタイプでは無いそんな二人の話だから、なおさらグッとくるのだ
むしろ痛いくらい、胸が
そしてなんとなく含みのあるこの題名
「すべて真夜中の恋人たち」
読んだ後はこの題名が妙にしっくりとくる
最初からこの小説にはこの題名しか無かったような
最後に、この小説の冒頭部分を引用
実に綺麗な文章だ
真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思いだしている。
光をかぞえる。
夜のなかの、光をかぞえる。
はぁ、オレもこんなカッコいいこと言ってみたい
これって読書感想文ですか?