パンダ組の日常

~だんご三兄妹をめぐるカオスな日常~

絶対に笑ってはいけない  ポリクリ編

医学部は6年制である。

 

大学によって多少の違いはあるのかもしれないが、ほとんどの場合1~4回生までが座学、5回生が病院実習、6回生は前半に病院実習、後半は国家試験対策のための自由時間、といった構成である(少なくとも私が学生の時代は)。

 

そして5回生で行われる病院実習は、通称ポリクリと呼ばれている。

 

私の大学では一学年100人を6人前後のポリクリ班と呼ばれる小グループに分け、各グループごとに内科や外科、産婦人科放射線科といった診療科を2週間隔でローテートさせていた。

全グループが1年かけて20弱ある診療科をぐるりと一回りするのである。

 

 

各班は重複しないようにそれぞれの診療科を回るのだが、2週間の実習が終わる最終日には「総括」と呼ばれる時間帯が用意されている。

 

総括は通常その診療科のトップ、すなわち教授が担当する場合がほとんどである。

 

総括の内容は各科それぞれであるが、多くの場合2週間の感想やミニレクチャー、簡単な口頭試問など。

しかしいかんせん相手が教授であるだけに、学生にとって相当な緊張感を伴う儀式であることだけは間違いない。

 

だが実際のところ、教授といってもピンキリである。

たしかにイカツイ雰囲気の教授もいるのだが、往々にして学生に対しては優しい教授が多い気がする。

 

これは私の勝手な見解だが、教授ってのは実は寂しいのではなかろうか。

損得ナシで話すことができる人間が周りにあまりいないから。

だから学生相手だと長話になる教授が多いのかな、と。

 

ま、将来自分の診療科に入局して馬車馬のように働いてくれるかもしれない学生達の不興を買うのは得策ではない、という打算があるのかもしれないが。

 f:id:pandamonda:20181223145602j:plain

 

 

さて、またしても前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。

 

これは私が実際に体験したものではなく、別のポリクリ班の友人から聞いた話である。

 

 

私の学年にはTさんという女性がいた。

若く見えるこのTさん、実は再受験生で私よりも数歳年上であった。

Tさんは大人しい人で、あまりグイグイと前に出るタイプではない。

私はこのTさんとほぼ接点がなかったのだが、いつもニコニコしている印象を持っていた。

そしていつも眠そうな人。

話し方もホワッとしていて全体的に柔らかい感じ。

 

 

このTさんが属するポリクリ班の話である。

 

先ほど総括をする教授のキャラクターはそれぞれという話をしたが、その時彼女の班が回っていた診療科はいわゆるイカツイ教授」が君臨する科であった。

事件はその総括の時に起こったという。

 

小さなミーティングルームに円形に椅子を並べ、教授を中心に6人の学生が囲むように座る。

 

教授がひとしきり喋りたいことをしゃべり、最後に「2週間の実習で持った疑問について、なんでもいいから質問してきなさい」というありきたりの展開を迎えたのだとか。

 

しかしそのポリクリ班、珍しく大人しい学生ばかりが集まっていたのかなんなのか、誰一人として積極的に教授に質問をする人がいなかったらしい。

目を見合わせては「オマエが行けよ」的な雰囲気を出していたのだろう。

 

これはイカツイ系の教授を最もイラつかせるパターンである。

 

案の定、

「なんだお前ら、2週間も回っててなにも考えてなかったのか」

と怪しい雰囲気になってきたそうだ。

 

学生たちの間に緊張が走る。

 

 

そこで、である。

 

あの大人しいTさんが、である。

 

さすがに”ここは最年長である私が班員を守ってやらねばならない”という思いに駆られたのだろうか。

 

 

「それでは教授、私から質問させて頂きます」

 

 

周りはホッとしたという。

これであと数分耐え抜けばこの苦行から解放される、と。

 

Tさんからの質問に気をよくした教授は、自分の専門分野であることも手伝ってか相当に熱を入れた解説を始めたらしい。

もともと教授というのは人にモノを教えるのが大好物の生き物なのだ(多分)。

 

意外に長引く解説を聞きながらも、班員たちはTさんに感謝していた。

 

やっぱり頼りになるねぇ、さすがは姐さん・・・

 

 

尊敬と感謝の念をこめて一人の班員がTさんにアリガトウの目配せを送ったところ・・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・頭が揺れてたらしい

 

 

まさか・・・・寝てるの!? 

この状況で!!??

自分で質問しといて眠れるんですか!!!???

この超至近距離で!?!?!?!?

 

 

 

さあここからが「絶対に笑ってはいけない」タイムの始まりである。

 

 

悦に入ってひたすら喋りまくってる教授がいつ気付くのかと冷や冷やしながら、そんなことお構いなしに傍らでコックンコックン船を漕ぐTさんを見て笑いをコラえなければならない・・・・・

 

 

 

想像しただけで地獄

 

自分がその場にいたら完全にアウトだったわ

 

 

Tさんと同じ班じゃなくて心の底から良かったと思いましたって話。

 

絶対に笑ってはいけない 研修医編

 #シュガラお題「理想のコンビ」

 

 

今回は珍しく研修医の頃の思い出話でも。

ついでに今週のお題にも乗っかってしまおう。

 

 

 

大学を卒業後、国家試験に合格し晴れて医師免許を取得すると、通常は2年間の初期臨床研修を受けることになる。

この期間がいわゆる「研修医」だ。

車の運転でいうところの若葉マーク。

職人さんでいうところの見習い期間。

 

肩書こそ「医師」であるが、当然ながら右も左もわからないヒヨっこである。

 

多種多様な職種がひしめき合う医療現場において、ヒエラルキーの最下層でもがき苦しむ哀しき存在、研修医。

 

一般的に研修医といえば、まだあどけなさの残る青年たちが初々しさを振りまいて爽やかに奮闘するシーンを想像されるのであろうが、現実は少し異なる。

 

「何もできないくせにチョコマカと動き回りやがって、邪魔なんだよ」とばかりに年配の看護師から邪険に扱われ、白衣を纏ったそのビジュアルから「白いゴキブリ」なんて揶揄されたりして。

もちろん優しい看護師さんもいるし、働きやすい病院もあるんだけど。

あくまで一般的な話。

 

しかし幸か不幸か私の場合、その頃にはすでに見た目も年齢も完璧すぎる中年であった。

もうどこに出しても恥ずかしくないほどの中年っぷり。

まぁ散々回り道したんだから仕方がない。

だけどそれを逆手にとって内心ビクビクでも自信ありげに振舞っていると、何も知らない周囲の人間は私のことを「そこそこ中堅の医者」だと勘違いして丁寧に接してくれたりして。

 

正直、歳を取ってから医者になって良かったと思えるのはこの一点のみである。

 

 

しかしオーベン(指導してくれる上級医)はさぞかしやりにくかっただろうに・・・

 

f:id:pandamonda:20181221201350j:plain

 

 

さて〇✖県から彼女(後の嫁さん)を連れて故郷に帰ってきた研修医1年目、私は県北部に位置するとある研修病院に配属となった。

 

100年前の建物ですか?ってぐらいボロっちい、そして広大な敷地の病院。

和製バイオハザード実写版があれば、ロケ地として最終候補まで残りそうな病院。

 

そしてなんの偶然が重なったのか、互いに別々の研修先へ希望を出していたにも関わらず、私と彼女はこの病院にまとめて放り込まれたのだ。

 

 

嫁さんとの関係を一言で表せば?

そう問われれば迷わず即答する。

 

「戦友です」と。

 

研修医にとって、まさに「研修1年目」という死線を共にくぐり抜けた仲間は戦友に他ならない。

 

ま、自慢じゃないけど嫁さんを背に最前線で実弾喰らいまくってたのは間違いなくオレなんだけどね。

 

 

ということで理想のコンビは「私と嫁さん」

強引にコジツケてやったぜ。

 

はい、チャチャッと今週のお題クリアってことで。

 

 

f:id:pandamonda:20181221202037j:plain


 

さてと、話が随分逸れたが前置きはこれくらいにしてそろそろ本題へ。

絶対に笑ってはいけないシリーズだった。

 

 

研修医といえば、基本的には雑務である(ホントは雑務をやらすのはNG)。

簡単な処置や採血なんかは研修医の仕事であるが、大きなリスクの伴う手技や深刻な病態の説明は上級医が行う。

 

ある日かなりの重症患者が入院となり、その患者を私のオーベンが主治医として受け持つことになった。

そうなると自動的にコベン(その指導医についている研修医)である私が担当医となる。

 

ご高齢の患者さんとその奥さんに対し、オーベンがかなり厳しめのムンテラ(病状や今後の方針などの説明)を行った。当然ながら研修医がそのようなムンテラを単独で行うことはない。

 

私は傍らで眉間にシワを寄せ、時折フンフンと相槌を打ちながらその説明を聞いていた。

当たり前だ。

それなりに深刻な状況であり、夫婦ともども狼狽えている中で笑顔など出るわけもない。

万が一ニヤついたりしようもんなら、あとでオーベンにこっぴどく叱り飛ばされる。

 

 

オーベンからの説明が一通り終わると、続いて今後の治療に関わる承諾書にサインを頂く段階になる。

こういった雑務は研修医のお仕事。

書面に書かれている内容をザッと説明し、了解が得られたならば最後に日付と自筆のサインをもらうのだ。

 

しかし患者本人はサインができる状態ではない。

そこでやや心許ない気がしたが、奥さんに代筆をお願いしたのだ。

 

 

これが間違いだった。

 

 

「ここに本日の年月日をお願いします・・・そうです・・・・・そしてここにご本人のお名前・・・・こちらは代筆された奥様のお名前を記入してください・・・・・そうですそうです・・・・・続柄は・・・・奥様ですよね?それでは妻と記入してください・・・」

 

ゆっくりと書き進める奥さん。

 

ようやく書き終わって私に書面を返してくる。

 

 

その時、不幸にも書面の一部がチラリと私の視界に入ってしまったのだ。

 

 

 

本人署名:研 修一

代筆者署名:研 修子

本人との続柄:麦

 

 

 

 

 

本人との続柄:

 

 

 

 

 「えっむ・・むぎ!?妻?麦?妻麦??麦妻???」

 

 

 

ここから私の孤独な「絶対に笑ってはいけない」戦いが始まった。

 

 

耐えろオレここで吹いたらジ・エンドそう終しまいだあとでオーベンに半殺しにされるぞ看護師のアタリも今よりさらにキツくなるしなにより患者さんと信頼関係を築けなくなるんだぞいいのかそれでダメだろならば耐えろ耐えて耐えて耐えぬくのじゃあああぁぁぁぁぁ

 

 

心の中で念仏のように唱える。

奥歯をグッと噛みしめ、文字通り苦虫をかみつぶしたような顔になる。

 

 

よしっいいぞ!周りから見たらナカナカにいい表情だ!!

 

 

しかしどうしてだろう、笑いの波は真剣になろうとすればするほど何度でも押し寄せてくるもんだ。

 

 

麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた麦って書いてた妻って書いてよ・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

いつものようにそろそろ面倒臭くなってきました。

 

ま、結局は鉄の意志でもって能面のような顔を貫き通したんですけどね。

 

特にオチはありません。

 

最後までお付き合い下さった方、なんかスミマセンでした。

 

 

 

しかし私は今、自分に対してひどく感動しています。

 

よくぞこのネタで2500文字も引っ張ったもんだ・・・

 

チロヌップのきつね

仕事から帰ってふとリビングのテーブルを見ると、子供達が公文で借りてきた本が置いてあったのです。

何気なく手に取ってみると、なにやらキツネの話でしょうか。

 

 

 f:id:pandamonda:20181218142319p:plain

 

なになに・・・・ん?

ババチョップのつくね?

じゃなくてチロヌップのきつね??

 

 

なぜだか胸がザワつきます。

 

 

はて、チロヌップチロヌップチロヌップ・・・・・

どこかで聞いたような・・・・・

 

 

 

あっ、オレこの本知ってるわ

小さいとき母親に何回も読んでもらったわ

 

 

おそらく35年以上は前のことでしょう。

 

当時の私はまだウチの長男くらいの年だったので、内容はすっかり忘れていました。

しかし表紙のホンワカぶりとは違って、なんだかひどく悲しい本だったような気がしたのです。

 

そういう目でもう一度絵を見直すと、お父さんでしょうか、鋭い目で後ろを振り返るキツネの表情がさらに不安を煽ります。

 

 

早速その晩、寝る前に子供達へ読み聞かせてみたところ・・・・・

 

 

やっぱり泣いてしまいました。

四十過ぎのオッサンなのに泣いてしまいました。

長女に泣いてるのがバレてひどく恥ずかしい思いをしました。

 

 

違うんだよ、父さん今お腹が痛くて泣いてるんだよ・・・・

 

必死で誤魔化しましたが、腹痛で泣くのも十分恥ずかしいということに今気づきました。

 

 

 

この本を読んでもらった幼少時代、自分はどんな受け止め方をしたのでしょうか。

なんとなく不吉な記憶が残っていたわけですから、おそらく悲しい話だということは理解していたのでしょう。

 

しかし今、子を持つ親としてもう一度この本を読んでみると・・・切実です。

 

 

以下、感想です。 

 

物語は淡々と進みます。

キツネたちは擬人化されることなく、最後までキツネとして描かれています。

なのに、親キツネの気持ちが痛いほどよくわかるのです。

 

以上。

 

 

・・・・なんてヘタクソな読書感想文なのでしょう。

 

これ以上私がレビューすると名作を汚すことになりかねないので、是非ともご一読ください。

 

巷には多くの児童本が溢れていますが、やはり長きにわたって残り続ける名作にはそれなりの理由があるんだと再認識致しました。

 

 

長きにわたって忘れ続けていた私がエラそうに言ってみました。

 

 

このように、子育てをしていると遥か昔に出会って以降、忘却の彼方に追いやられていた懐かしの名作たちに再会できる可能性があります。

 

「エルマーの冒険」や「ぐりとぐら」や「きょうはなんのひ?」や「はじめてのおつかい」なんかの四番打者的な名作だけではありません。

名作なんだけど書店の目立たないところにひっそりと置かれているような、隠れた名作たちです。

 

そして不意にそういった懐かしの児童本に再会すると、何十年という月日を一気に飛び越えて、幼かった頃の記憶が押し寄せてくるのです。

 

 

まさにノスタルジーです。

 

 

ノスタルジック・チロヌップです。

 

 

言ってみたかっただけです。

大アマゾン ~猿、さる、サル~

動物好きの長男と「大アマゾン」なるNHKの特番を見ていた。

長女・次女は嫁さんとクリスマスツリーの飾りつけに余念がない。

 

長男は色んな種類の動物や昆虫が出てくるものと期待していたようだが、蓋を開けてみるとほぼ猿オンリー。

明らかにテンションが下がる長男。

 

「ほら、変わったお猿さんやで~」とか言いながらなんとかアゲていこうとするのだが、いかんせん猿だけではなかなか難しい。

 

そうこうしている内に一匹の変わった赤毛の猿が画面に映し出された。

見るともなく見ていた長男であったが、その猿が出るや否や大した興味も無さそうにボソリと呟いた。

 

「あっ、アカホエザルや」

 

その直後、画面に出てきた字幕・・・・たしかにアカホエザルだ。

 

「おい長男、なんでわかった!?」

 

「だって図鑑に載ってるもん」

 

 

マジで?

覚えてんの??

 

それから後、出てくる猿の名前を次々と聞いてみると・・・当たってたり、少し違うけど大体合ってたり。

 

 

やはり子供の記憶力には目を見張るものがある。

 

 

そこで私も負けじとうろ覚えの知識で勝負を挑むのだが、これがなかなか当たらない。

 

 

例えばこんなの↓

 

f:id:pandamonda:20181216212923p:plain

 

図鑑によればハゲウアカリという種らしい。

 

 

 

・・・・・・どう見ても飲み過ぎた子泣きジジイだろ

 

 

 

 

続いてコレ↓

f:id:pandamonda:20181216215608p:plain

 

コイツは見たことあるわ

 

 

頭に乗っけたイチモツ・・・間違いない

 

 

 

 

 

「アンタガ・タ・タフマン

 

これ一択

 

f:id:pandamonda:20181216214630p:plain

 

 

 

 

・・・・・クロヒゲサキらしい、なかなか当たらんもんだ

 

 

 

 

そして極めつけはコレ↓

 

f:id:pandamonda:20181216213821p:plain

 

この眼力、独特の前髪

スタイリッシュな毛皮

 

 

コイツだけはハズすわけにいかねぇ

 

 

オマエの名は・・・・・

 

 

 

ズバリ・・・・・・ 

 

 

 

Junko☆Koshinoだっ!!!」

 

f:id:pandamonda:20181216214901p:plain

 

 

 

・・・・・新種のサルらしい

 

名前はまだ無さげ

 

 

 

 

ま、なんのかんのと意外に楽しめましたって話。

幼稚園にお菓子を持ち込んではいけない理由を考えてみた

 

問題:幼稚園にお菓子を持ち込んではいけない理由を、子供が納得できるようにわかりやすく説明せよ

 


  

食事中に長男が突然言い出した。

「明日□□君がオモチャくれるねん」

「なんで?」

「知らん、幼稚園に持ってきてくれるって」

 

 

最近になって、ウチの子が通う幼稚園でお菓子や玩具を持ってくる子供がいることがちょっとした問題になっている。

一応規則上は私物の持ち込みを禁止されてるわけで、親としては当然クギを刺しておく局面である。

 

「おい〇〇(長男)、幼稚園にオモチャとかお菓子とか持っていったらあかんって言われてるの知ってるな?オモチャ、受け取ったらあかんぞ」

「別にいいやん、なんであかんの?」

 

 

嫁と目を見合わせる父。

 

フフフ、丁度良い

これを機になぜ幼稚園に私物を持ち込んではいけないか、幼児行動心理学の大家(自称)であるこの父が懇切丁寧に教えてやろうではないかコドモの行動心理学 - パンダ組の日常

母さんや、ここは父さんに任せておきたまえ

 

 

f:id:pandamonda:20181214145701j:plain

 

 「よし〇〇(長男)、ここはわかりやすくお菓子ってことにしとこうか。なんでお菓子を幼稚園に持っていったらあかんと思う?」

 

「だから別にええやん、どうせおやつの時間に食べるんやから」

 

「そしたらさ、もし〇〇がその日お菓子を持っていけなかったらどうする?」

 

「そんなん・・・一日くらいガマンするわ」

 

「結構結構。そしたらさ、もし〇〇がこれからしばらくずっとお菓子を持っていけないとしたらどうする?」

 

「なんでそんなことになるんよ!」

 

「なにがあるかわからんからな、人生。お父さんたちの仕事が忙しくて買いに行けんかったり病気して入院したり仕事クビになったり・・・・いろいろあるかもしれんやろ?」

 

「・・・・・そしたら一人でお外で遊んどく、虫捕りしながら」

 

「そうか。でもお前が一人で虫捕ってるあいだにお友達はお菓子食べてるんやで?だったらどうよ??」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・そしたら虫を食べる」

 「ぶふっ」←嫁、脱落

 

(父、ギリギリのとこで踏みとどまって)グッ・・・なっ・・・な?な?な?そうなるやんな??もう昆虫食べるしかなくなるやろ???・・・・だけどさ・・・・・グフッ・・・・虫食っちゃイカンわな?・・・プッ・・・だ、だからよ、だから幼稚園にお菓子なんか持って行っちゃいかんのだよ!!」

 

 

 

 

ふぅ~危なかったぜ

最後の方勢いだけで乗り切ったったわ

もう少しで吹いちゃうとこだったけど・・・想定外の反応にも臨機応変に対応できたし

考えてたストーリー展開とは全然違うけど納得してるみたいだからまぁ良しとしよう

ていうか上手い事まとめた方じゃない??

よくやったよ、オレ!

 

 

 

 

 

問題:幼稚園にお菓子を持ち込んではいけない理由を、子供が納得できるようにわかりやすく説明せよ

 

 

 

回答:ウチの子が虫を食べてしまうから

 

鬼から電話

鬼から電話。

ご存知でしょうか。

子育て期にしか需要がない幻のアプリ。

言うことを聞かない子供達を意のままに操ることができるという神のアプリ。

そして乱用すれば使うもののココロまでも鬼に変えてしまうという悪魔のアプリ(ウソです)。

 

あまり頼りすぎてはイカンなぁと思いつつ、ついついその神通力にすがりついてしまう罪深い父なのです。

 

f:id:pandamonda:20181212162818p:plain

 

 

さてこのアプリ、使い方は至って簡単。

 

パッと画面を開いてイイ鬼がいないかサーッと見回して自分好みの鬼やら化け物を見つけたらソイツをポチッとご指名するだけ。

 

・・・・・なんかイヤな書き方だなコレ

 

あとは呼ばれた鬼さんが電話をかけてきて、ドスの利いた声で適当にビビらせてくれます。

 

 

しかしこのアプリの神通力はそこじゃないんです。

 

 

このアプリの凄いトコ・・・・・それは・・・・ななな、なんとアプリを起動しなくても子供達が言うことを聞くようになるとこなんです!

 

 

 

カニズムを簡単にご説明しましょう。

 

鬼から電話を見せる

⇒あまりの怖さに衝撃を受ける(実際はあまり怖くない)

⇒二回目からはメイン画面を見るだけでビビる

⇒なんなら携帯をイジるだけでアプリを起動しているのではないかと勘繰りだす

⇒最終的に「おに・・・」という単語だけで拒絶反応を示すようになる

 

 

昔話の鬼って子供の教育のために生れてきたのかも・・・

そんなことをフト考えたりして。

 

 

そんなこんなでウチの子達もあまりに愚図る時は

「さあ、そろそろ鬼さん・・・」

と言うだけでビシッと言うことを聞くようになりました。

 

実際鬼から電話を見せたのは遥か昔、ホンの数回程度です。

それが今となってもその効力を維持し続けているとは・・・・

 

即効性持続力を兼ね備えた、まさに神のアプリ。

 

 

しかし使用に際しては十分ご注意下さい。

このアプリを子供に見せている時のアナタの顔がすでに鬼のよう・・・・・略

 

f:id:pandamonda:20181213122707p:plain


 

 

それはそうと、このアプリを使ってるうちに面白いことを発見しました。

子供三人、それぞれ反応が全く違うのです。

 

 

長男@6歳

さすがはパンダ組筆頭格かつ日本男児なだけあって、電話をチラつかせてもあからさまにビビった様子は見せません。

それでもチラチラとこちらを気にしているのはその目つきからも明らかです。

 

フフフ、せめぎ合ってますなぁ恐怖心とプライドが。。。

 

 

 

長女@4歳

・・・・・完全に取り乱します。

あまりに食べるのが遅すぎる時などにチラつかせてみると

 

「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃぃ食べるから食べるから今すぐ食べるからああああああぁぁぁぁぁぁ」

 

 

叫び続けて一向にご飯が進まなくなります。全くの逆効果でした。

 

 

つい最近も、朝なかなか起きようとしない次女に

「さて、そろそろ鬼さ・・・」

 

みなまで言う前に、トイレでおしっこをしていた長女がズボンとパンツを足首まで下げた状態で鉄砲玉のように飛び出してきました。

 

「あかーーーーーーんやめてやめてやめて~~~~コラ次女アンタはやく起きなさいよぅ!!鬼さん呼ばれちゃうでしょうがぁぁ!!!!」

 

いや長女、お前関係ないからひとまずちゃんとおしっこ出してこいよ・・・

 

 

 

次女@3歳 

一言で言うと気丈です。

コイツに限ってはまだ小さいため、脅しだけではなかなか通用せず実際に画面をチラ見させる必要があります。

長女と同じくご飯が進まない時に見せたのですが、画面を見るなり泣きそうだった顔がキリッと引き締まったかと思うと、おもむろに「ぶぶぶぷぷうぅ」と唾を吐きかけてきたのです。

 

父さんの買ったばかりのiphoneに向かって・・・・・

 

なんかしらんけど戦わねばって思ったんでしょう。

 

不幸なことに食べてる最中だったから、米とみそ汁の具が混ざった唾液が大量に新品の携帯画面に吹き付けられました。

 

「あぁぁオレのアイフォンがあぁぁ・・・・やばいケースにニンジン入りこんだわ・・・うわっっフィルムに味噌汁がしゅみていくぅ~~~」

 

 

 

 

 

鬼から電話 Vs 次女

  

 

次女圧勝

 

音楽合戦

週末は長男長女の通う幼稚園の音楽発表会でした。

ウチは長男と長女が年子のため、結果として土曜と日曜の両方が潰れるというハードスケジュールに。

 

週末に体力を回復できないのは致命的・・・・・orz

 

 

しかしまぁ子供の発表会ともなると、親御さんによっては力の入れようが半端なかったりします。

場所取りのため、午後の部なのに午前中の開門一番からずっと順番待ちしてる人もいます。

寒空の下防寒具に身を包んでスマホ眺めて時間潰し・・・・・ご苦労様です。

 

超高性能っぽいカメラとビデオとドデカい三脚を担いで「アイドルの撮影会ですか?」

みたいな人もいます。

 

それに比べてウチはいつも中くらいのテンション。

できたら良い席を取りたいけど、そのために開始数時間前から並ぶような気力も体力もございません。

だから今年も開演30分くらい前に嫁さんが席取りに出かけました。

私は主役以外の子供達と遅れて出発するので留守番です。

 

 

しばらくすると嫁さんから電話がありました。

 

 

「アカンかった、立ち見やわ」

 

 

 

「・・・・・Touch me !?

 

 

思わずネイティブばりに聞き返してしまいましたよ。

 

 

30プンマエデモウスデニタチミデスカ・・・

 

 

でもそういえば去年はも少し早めに並んだような・・・

年々テキトーになってんだろうな、オレたちも。

 
 

 

さて、子供の発表会となるとどこの親御さんも多少はドキドキのはずです。

 

・・・・うちの子ちゃんとできるんやろか

 

ご多分に漏れず私たちもドキドキでした。

長男に対しては男の子特有のがさつさというか集中力の無さというか、一人だけ飽きて違うことしだすんじゃなかろうか、みたいな不安。

長女は早生まれかつ体が小さいため、体力的に最後まで遂行できるんだろうか、なんていう不安。

 

ちなみに幼稚園の音楽発表会は太鼓なんです。

年中の長女は洋太鼓、年長の長男は和太鼓。

あとはそれぞれの学年全員で合唱とピアニカ。

 

f:id:pandamonda:20181210221634j:plain

 


 音楽発表会の前日、長男がお手本のようなダメ台詞を吐きました。

一抹の不安からいつも以上に明日頑張れよ、としつこく発破をかける両親のプレッシャーに弱気になったのか、

えぇ~、でも間違えたら恥ずかしいからあんまり大きな声出したくない・・・」とか言い出したんです。

 

そこで久々に、ホント久々に父がイイこと言ってやりましたよ。

 

「おいオマエたちよーく聞けよ。所詮幼稚園児のオマエらが間違えずに演奏できるだなんてハナからだーれも期待してないんだよ。大体あんな遠くから見てて間違えたかどうかなんてわかると思うか?それよりお父さんたちがオマエたちの何を見てるか教えてやろう。目をみてんだよ、目を。真剣にやってるかどうかなんて目を見りゃすぐわかる。お父さんたちを感動させるような目つきで演奏してみろ」

 

 

・・・・・実際に書いてみると案外当たり前のことでした

 

 

「お父さんたちを感動させるような演奏だったら10点やろう。やる気のない演奏なんかしたらマイナス10点やからな!」

 

実は我が家はクリスマスが近づくと突如、点数制に変わるのです。

ファインプレーや親の言うことを良く聞いた時は加点、逆に怒られるようなことをした時は減点。

最終的に得点が多ければ希望のプレゼントを、得点が少なければ親の選んだ強制プレゼントを否応なくゲットすることになります。

 

ちなみに今年の強制プレゼントはフランス人形@なるべく呪われてそうなヤツ、です。

ま、今まで強制プレゼントを発動したことはないんですけどね。

 

f:id:pandamonda:20181210221738j:plain

 

 

そんなこんなで本番当日。

まずは長女の出陣です。

 

開始たったの10秒で・・・・長女の真剣な目つき、マレに見る機敏な動きをしかと確認致しました。

 

長女よ、お前はもう大丈夫だ

なんも心配ないわ

あんなにか弱かったお前がこんなにも逞しくバチを振り回して・・・指揮者(担任の先生)の顔を食い入るように見つめて・・・・・

 

それ以降は視界が霞んでしまってよく見えませんでした。

きっと持病の白内障のせいです。

そっと横を見ると、嫁さんの持病のウサギ目症候群が悪化してました。

 

 

 

翌日、今度は長男の出陣です。

 

・・・・・なんにも言うことはありません。

小さい頃はヘラヘラして先生の言うことなんか全然聞かなかった息子が。

幼稚園の三年間でこんなにも成長するもんなんだな。

今これを書きながらまた視界が霞んできましたよ、チクショーこの白内障め!

 

しかし息子の和太鼓を打つ顔、まさに真剣そのものでした。

音楽発表会という名前が出てこなかった私が、息子に「なんだっけ・・あの・・・ほらお前達が太鼓叩くやつ」って聞いたらすかさず「ああ、音楽合戦か?」って答えただけのことはあります。

 

まさに戦い、真剣勝負でしたよ。

息子も娘も。

 

 

 

疲れたけれど清々しい週末を過ごしました。