ミニ四駆、ご存知だろうか。
私が小学生だった頃、何の前触れも無く突然コレで遊ぶ男子が急増したのだ。
当然四駆なんて難解な言葉など知る由もないイタイケな小学生の私は、周囲の男子が
「今日ミニ四駆で遊ぼうぜ!」
なんて言ってるのを耳にして
「ミニヤングってなに??」
と聞き返してバカにされた記憶がある。
しかし当時は持っていなければお話にならないくらい流行ってたわけで、最終的に私も一つ買ってもらった。
その名も「Big Wig Jr.」。
どういう意味?って親に聞いたら
「おっきなカツラのムスコ」
って即答されたのがあまりにショックで今でも覚えている。
ちなみにこのミニ四駆、最初はノーマルな状態で購入するのだが、カスタマイズしてよりスピードアップを図れるよう様々なパーツが売られている。
なのでそういうのが大好物な人には垂涎の玩具と言えるが、いかんせんプラモデルのような自作系には全くと言ってよいほど食指の動かなかった私にとって、ミニ四駆は今一つハマりきれない遊びであり、ほどなくお蔵入りとなったのであった。
さてさて時は流れて30年。
つい最近実家の人達が遊びに来たのだが、誕生日が近い長男にミニ四駆をプレゼントしてくれたのだ。
なぜに今さらミニ四駆?
てかまだあったのか・・・・・
母親に聞いたところ、先日子供達を実家に連れて行って遊ばせていた時に、長男がさりげなくミニ四駆を所望したのだという。
なんでも友達の家にお呼ばれした際、その子の兄ちゃんがミニ四駆で遊んでいたのを見てどうしても欲しくなったらしい。
律儀に約束を守ってミニ四駆を買ってきてくれた家の人にお礼を言いながらも、心の中では軽く舌打ち。
どうせ組み立てるのオレだろうが
限りなく面倒臭ぇ・・・・・
とはいえ連休後半で誕生日間近にも関わらず熱を出してしまった長男が不憫でもあり、どうせ仕事も休みだし他にやることも無いし・・・・・よし、ちょっと本気出してやろーかってくらいの軽いノリでミニ四駆を作ってみたのだ。
特に高度なテクニックを要する箇所もなく、サクサクッと30分程度で完成。
早速電池を入れて走らせてみると、意外なほどスピードが速い。
しかしラジコンとは違ってこちらで操縦することはできない。
一度走り出したらどこかにぶつかるまでひたすら直進するのみ。
壁やらドアやらいたるところにガンガンぶつかってすぐにクラッシュ。
家の中で走らせるには少し無理があるなと思い始めたその時、長男がボソッと一言、
「コース買うてよ・・・・」
・・・・そりゃあ、そうなるわな
ミニ四駆には専用のコースが存在するらしいのだ。
最も簡単なものは楕円形のコースであり、ただグルグルと周り続けるだけ。
先ほど直線的にしか走れないと書いたが、ミニ四駆のコースには5㎝程度の壁が設置されており、車体の四隅に取り付けられたリングがその壁に沿うように回転するため、コース上では曲線的な走行も可能となるのだ。
父母からの誕生日プレゼントは未定であったため、ここぞとばかりに鼻息荒くコースを熱望する長男。
「いいやろ?誕生日プレゼントこれにする!」
しぶしぶネットでミニ四駆のコースを調べてみたところ・・・・
えっ?1万円もするの!?
一番ちゃっちいただグルグル回るだけのコースでさえ5000円オーバー!?
しかもデカくてかさばるし、こんなもん家の中に設置したらもはや生活ができんわ・・・
「諸々の理由により却下します」
まるでこの世の不幸を一身に背負ったかのように大袈裟に床に崩れ落ちる長男。
見るに見かねてもう一度購入を検討する父と母。
その時、ふと頭に浮かんだ危険な発想。
ダメだダメだ、それはあまりに危険すぎる
嫁さん、暴走寸前のオレを止めてくれよ
すがるように嫁さんの方を見ると、すでにその目には狂気が宿っているではないか。
まさか・・・オマエもおんなじこと考えてます??
「・・・・・仕方ない、作っちゃいますか」
そう、なんとなくコースを見てると自分で作れそうな気がしてきたのだ。
こんなもん、カッターと段ボールとテープがあればできるんちゃう?と。
調べてみると実際に作ってる人がいる。
しかもプラダン(プラスチックの段ボールみたいなやつ)を使ってかなり本格的に。
そうと決まれば善は急げ。
早速近くのコーナンに必要物品を買いに行く。
購入したのは以下の通り。
・プラダン900×1800:4枚
・グル―ガン
・グル―:30本
・養生テープ:2個
全部で1000円いくかどうか、実にお財布に優しい。
これに巻尺と物差しとカッターとハサミを駆使して、見よう見まねでコース作りを開始。
工作なんて昔っからまったく興味のなかった父であるが、やり始めると時間が経つのも忘れて熱中。
気付けば立ち上がるのも困難なほど腰がカチンコチンに固まっていた。
それはそうと今回の工作で初めて使ったグル―ガン。
グル―スティックと呼ばれる棒状の樹脂をグルーガンに装填、熱を加えて溶かして塗布し、樹脂が冷えて固まることで接着させる工具である。
この使い勝手が凄まじく良い。
お値段も1000円以内で購入できるものが多く非常にリーゾナブル。
今後日常生活の様々な局面で使えそうな気配ムンムンの便利グッズであった。
もちろん今回のコース作りでも大車輪の働き。
まずは難易度の高そうなコーナー部分から作り始める。
↑のようにペンで曲線を描き、コースを隔てる5㎝の壁を仮止めしていく。
あとは例のグル―ガンで壁を固めていくだけ。
このグル―ガンが気持ちよすぎてかなりクセになる。
中毒者続出の要注意な工具である。
完成形は後ほど。
続いて直線部分にとりかかる。
こちらは特に問題なくスピーディに作業完了。
そして・・・・今回の工作で最難関のコースチェンジ部分(立体交差)である。
これが無ければ同じコースをグルグル回り続けるだけでレースにならない。
なんとしても作らねばならないが、今一つどのようにして作れば良いのかわからないため後回しにしていたのだ。
しばし設計図や完成形の写真を見ながらあーでもないこーでもないと頭の中で思案。
あーもう面倒臭いわ、とにかく一回やってみよう!ってことでプラダンにフェルトペンで下書きし、カッターで一気に切り刻む。
なんと一撃で成功。
失敗した時のためにプラダン3枚で良いところを4枚買っておいたのが、おかげで1枚まるまる無駄になってしまったわ・・・・
さて、収納を考えて6個のパーツに分けて作成したコースをいよいよ合体させる。
ドキドキの瞬間。
おぉーーー!!
デカすぎて写真に納まりきってないけど、不器用な父にしてはナカナカの出来じゃないの!?
所要時間5時間弱、体の節々がゴリゴリに固まったけど達成感も半端ない。
実際にミニ四駆を走らせてみると、時折勢いが良すぎてコースアウトするとはいえほぼ問題なし。
コースチェンジもスムーズ。
やりきった感に包まれて息子が遊びに興じているのをぼんやり見つめていると、またもや唐突に一言、
「一台だけやったらレースにならんやん」
・・・・父さんもね、うっすら感じてたんよね、それ
極度の疲労と充足感からか、変なホルモンで脳ミソが満たされていた父はもう行きつくとこまで行ったるわぃ、とすぐさま父用のミニ四駆を買いに夕方の街へ。
帰宅後、晩飯も食べずビール片手に2台目のミニ四駆を作成。
一日の疲れが溜まっているからか、目は霞むし指は震えるしで1台目とは比べものにならないくらい時間がかかってしまったが、何とか作業完遂。
夢の2台同時走行が実現しましたとさ。
以上、長々とミニ四駆ネタを書いてみた。
不器用な人間でも意外と簡単にコースが作れるということが判明しただけでも十分に意義のある記事だわこれ、と自画自賛してみる。
しかも買うより断然お得だし、何より楽しく作れて子供の記憶に残る(はず)。
ミニ四駆に興味があるお子さんを持つお父さんお母さん、子供達と一緒にトライしてみてはいかがでしょうか?
きっと私と同じ感想を持つハズですよ・・・・
グル―ガン気持ちいい!!!ってね。