今週のお題「夏を振り返る」
久しぶりに嫁さんと二人で旅行に出かけた。
花の都・大東京へ二人きりのプチ旅行。
2019年夏の終わりを飾る秘密のランデヴー。
まさに東京ラヴストーリー。
ブではなくヴのイマージュ。
とは言ってみたものの、グルメやショッピングを楽しんだわけでもなければミッキーをハグしてきたわけでもない。
試験を受けに行ったのだ、専門医試験。
なんて殺伐とした響きなんだこの「専門医試験」ってヤツは。
私と嫁さんは異なる専門であるが、大きなくくりでは同じ科。
だから今回の試験は二人とも受ける必要があったのだ(別に持ってなくてもよい資格なのだが)。
母と姉に子供たちを託し、土曜日の昼すぎに家を出発。
小一時間ほど移動して新幹線に乗り込むと、そそくさと勉強道具を取り出す二人。
あとは黙々とひたすら試験勉強。
なにがランデヴーだ。
どこがラヴストーリーだ。
東京までの数時間、一分たりとも無駄になんかできない。
自慢じゃないが私達は明らかに勉強不足なのだ。
嫁さんは仕事と家事に追われて勉強する暇がまったく無かったという悲惨な状況。
私は寄る年波で勉強する意欲がまったく湧かなかったという自業自得な状況。
そんなこんなで事前準備が全くできていなかったため、二人とも目の色変えて車内で勉強したというわけだ。
ほんともういつになったら試験勉強から解放されるというんだ・・・・orz
品川駅で降りる頃、辺りはすっかり黄昏時。
日が暮れるのが早くなったことに改めて気付かされる。
夏の終わりってなんであんな唐突に太陽がヤル気を無くしてしまうんだろうか。
問題集や参考書でパンパンに膨らんだカバンをえっちらおっちら担いで、その日宿泊予定のビジネスホテルを目指す。
山手線に乗り換えたり臨海線に乗り換えたり、あーだこーだしてるうちに有明のとあるビジネスホテルに到着。
チェックインを済ませて部屋に入るとホッと一息・・・・している場合ではない。
部屋に籠るとさらに小一時間ほど勉強。
しかし時計の針が夜の8時半を指しているのに気付いた瞬間、私の中の何かが”プチッ”と音を立てて切れた。
もうあかん・・・
もうイヤや・・・
なぁ・・・・・・飲みに行こや
せっかく東京に来たんだからさ
今さら数時間勉強したところで結果は変わらんて
それよりも思い出でしょ
点数では買えない思い出を大切にしましょーよ
多分そんなことを言ってくるだろうと覚悟していたのだろう。
特に抵抗もせずほんじゃ行きましょかとすんなり腰を上げる嫁。
宿泊しているホテル界隈は9時ラストオーダーの店が多かったため、タクシーに乗ってお台場まで足を伸ばしてみることにした。
お台場
なんてシャレた響きなんだ
Oh Diver!!!的な発音がよく似合いそうだよね
そんなくだらないことを考えている内にあっという間にお台場に到着。
とりあえずフジテレビ本社ビル前でタクシーを降りて辺りを散策。
私としては路地裏にあるうらさびれた小料理屋で静かに飲みたかったのだが、そもそも路地裏と呼べそうなスペースを有する路地が無い。
別に路地裏でなくてもよいのだが、小料理屋と呼べそうな小規模な割烹やバルもない。
あるのはドデカいショッピングモール?的なビルと、その中に入っている全国チェーンであろう居酒屋のみ。
なんちゅう風情のない・・・・・
しかしあまり贅沢も言ってられない。
明日の本番に向けて早めに就寝せねばならない。
とりあえず近くのビルに入り、夜景がきれいなテラス席があるという何の変哲もない居酒屋に入店。
テラス席に案内されると、なるほどこれは美しい。
海風を浴びながら夜景を眺めて飲むビールは格別だ。
これで明日の試験さえなければ最高なんですけど・・・
かの有名なレインボーブリッジ
レインボーじゃなくて白一色だったのがちょっと残念
マンションがいっぱい
こんなオシャレなとこに住んでる人ってどんだけオシャレなんだよ
芸能人とかハイパーメディアクリエイター的な肩書きの人ばっかりだろ
それにしてもこんな夜景を毎晩見れるなんて・・・・
もしオレだったら・・・・・・・
三日で飽きるかもw
そんなこんなで調子に乗って生中3杯、スパークリングワインと赤ワインを各1杯。
ほろ酔いでホテルまで帰るとセブンイレブンの鶏唐揚げをつまみにストロングゼロの缶チューハイ500mlを一本。
その後またダラダラと勉強して結局午前1時に就寝。
あーそろそろ面倒臭くなってきた。
こっからは端折ろう。
翌日、朝6時に起きてちょっと勉強して朝風呂を浴びていざ出陣。
朝9時から休憩込みで7時間半の長丁場をひたすら耐え抜く。
四十路を過ぎてこんな長時間硬い椅子に座らされると褥瘡ができそうで怖い。
しかし集中していたためか、意外なほど時間が経つのが早く感じられた。
台風が接近しているのがわかっていたため、最後の試験を早抜けしてタクシーに飛び乗り帰路を急ぐ。
ここで私のファインプレーが光り輝いた。
有明から新幹線に乗る場合、東京駅より品川駅に行く方が断然早いらしい。
当然タクシーの運転手は品川駅から乗ることを強く勧めてくるわけだが、虫の知らせというか野生の勘というか、なぜか東京駅へと向かうよう私の中の何かが叫ぶのだ。
「いや・・・・東京駅でお願いします」
「アンタ何言ってんの?」とでも言いたげな嫁さんの白い目を受け流しつつタクシーの運ちゃんの反対を押し切って東京駅へと車を走らせること20分。
タクシーを降りてチケット売り場に到着すると、すでに窓口には長蛇の列が。
ようやく自分たちの番が来て関西方面の切符を2枚所望したところ、18時以降の運休が決まっているため、それまでの便は自由席のみの販売になっているとのこと。
次の日から仕事だし子供達も預けてるし、東京でもう一泊なんて悠長なことを言ってる場合ではない。
自由席で結構です、と切符を2枚受け取り、土産も買わずに停車中の新幹線に飛び乗った。
いや、飛び乗るという表現は適切ではない。
ギュウギュウに詰め込まれた、が正しい。
この状態で関西まで・・・ですか・・・・・
絶望的に嫁と目を見合わせる。
しかし、だ。
よくよく考えてみると東京駅でこのザマだ。
これがもし品川駅だったらどうだ。
もう乗車できるスペースなど1ミリもないではないか。
やっぱり東京駅で正解じゃねーか!!
突如鼻息荒く自己の正当性を主張し始める夫に対し、面倒くさそうにハイハイすごいね、と共感するフリをする嫁。
ま、実際は東京駅の方がお土産たくさん置いてそうってくらいのノリだったんだけどね。
超満席の車両で棒立ちになりながら、それでも二人で昼の試験問題を反芻して答え合わせなんてしてるうちに、知らぬ間に時間は過ぎていくもので。
夫婦で同じ道ってのはそれなりにしんどいことも多いけど、逆にこうやって助け合えたり共有できたりするのはやっぱり良かったなって思ったり。
ま、そんなこんなで何とか無事に試験を終わらせて帰宅することができた。
久しぶりに二人で遠出をして、それなりに楽しいプチ旅行であった。
そしてやっぱり家族みんなで行くほうがいいね、ってのを再確認した旅行でもあった。
試験の手応えに関しては、珍しく夫婦で意見が一致している。
「ちゃんと勉強したら来年は絶対受かりそうだよね~」
「だよね~」
来年の試験会場は関西。
次こそ全力で行く!