私は投資に前向きだ。
いわゆる”株”というやつをやってる。
やってるなんてエラそうに言ったけど、実際のとこ資産は減る一方。
株をやるようになって増えたのは白髪と体重だけ。
もちろん全ての財産を全力投入してるわけじゃなくて、無くしても許容できる範囲でやっている。
だから元手が減っても今のところ生活には直結しない。
だけど気分は悪い。
正直ムカついて何回もやめてやろうと思ったもんだ。
と言いつつも、なんとかやめずに細々と続けてはや五年。
資産こそ増やせてはいないが、相場からいくつか大切なことを学んだ気がする。
そこで今回、投資なんてリスキーなことはしないかもしれない将来の我が子達に、私が学んだ大切なことをコソリと書き残しておこうと思う。
別に投資なんて無理にする必要もないけれど、個人的にこれだけは知っておいても損はないんじゃなかろうかと思っていることだ。
株で利益を出すためにすべきことは至って単純。
株価が安くなっている時に購入し、高くなったら売却すればいい。
要は全ての商いと同じ大原則、「安く仕入れて高く売る」を実行すればいいのだ。
だけどこれが格段に難しい。
なぜ難しいか。
一つには、本当に今の株価が安いのか高いのか、その判断ができないから。
基準より下がったから安い、上がったから高い、そんな単純なものではない。
そもそもその基準自体が曖昧だし。
そこでみんな必死になって色んな指標とか会社の経営状況とかその業種の将来性とか、そんなのを調べては自分なりの基準を作る。
それでも高いのか安いのか、なかなか判断がつかないものだ(少なくとも私には)。
だけど「安く仕入れて高く売る」ことを難しくする最大の要因は別のところにある。
その正体は人間の心理なのだ。
今、は?って思った人、一度やってみたらわかりますから
まず間違いなく逆をやらかしますから
安くなったら売って高くなったら買ってしまいますから
一旦株価が下がり始めると、大抵の人はまだまだ下がるかもしれないという恐怖心から株を売ってしまう。
安くなったんだから本来買うべき局面であっても。
※単純に下がれば買う、だけでは被害がさらに大きくなる場合があるのでご注意を
逆に株価が上がり始めると、もっともっと上がるかもしれないという期待感で欲の皮が突っ張って、さらに持ち株を増やしてしまう。
高くなったら売るべきなのに。
そして往々にして相場というものは多くの人が株を手放したところ、あるいは買い増したところで突然逆に動くものなのだ。
まるで見計らったかのように。
このように大多数の人は誤って本来取るべき行動とは正反対の行動を取ってしまい、結果的に大損を被ることになる。
相場にはいくつもの格言がある。
その中の一つ、「人の行く裏に道あり 花の山」という言葉。
大衆と同じ行動を取っていても利益は上げられない、勇気を出して人と逆のことをする方がうまくいく場合が多い、という意味らしいのだが。
全てがそれで上手くいくわけではなかろうが、ある意味この格言は正しいと思う。
なぜならば前述の通り多くの人は間違った行動を取っているわけだから。
株は人間が売り買いするもの、だから当然相場は人間の思惑や心理(欲や恐怖心)を反映する。
突然何らかの思惑が指し示す方向へ株価が大きく動き出した場合、それに追従しようと次々に参入者たちが群がってくる。
彼らは大量発生して穀物に群がる様が似ていることからイナゴと呼ばれている。
そしてイナゴの取る行動は多くの場合、正解の真逆。
よって彼らは、株価をある程度動かすことができる大口(莫大な資金力で株を売り買いしているファンドなど)の格好の餌食となるのだ。
偉そうに言ってる私も勿論イナゴ。
しかも流れに鈍感で、いつも一番最後に飛びついてしまう哀れなイナゴだ。
それでも最近になって少しずつではあるが、イナゴらしからぬ動きができるようになってきた。
周りの動きに合わせて飛びつきたくなるのをグッとこらえ、少しだけ冷静に状況を見れるようになった気がするのだ。
まだまだ序の口だけど。
さて、今回のコロナ騒動。
様々な憶測やデマが飛び交い、店頭からマスクとトイレットペーパーが消え失せた。
特にトイレットペーパー、こいつは完全なデマだった様子。
ニュースでトイレットペーパーに群がる人、山のようなペーパーを運ぶ人たちを見て思わず
「あっ、イナゴ」
って思ってしまった。
きっとトイレットペーパーのデマの裏には色んな思惑があったのだろう。
慌てふためく人達を見て楽しみたかったのか、はたまた品薄となった状況で転売して一財産作ろうと思ったのか。
悪いのはもちろんデマを流した人間だが、このような状況下で最終的に損失を被るのは他でもないイナゴたちだ。
大量に買い占めたはいいけど、すぐに復旧して店頭に並ぶようになれば買いすぎたトイレットペーパーは置き場所に困るだけ。
中には法外な値段で買ってしまった人もいるはず。
何よりもペーパーを買いに人ごみの中に入ったことでコロナに感染してしまったら、これはもう笑い話では済まなくなる。
そんな中でこうなる前、多くの人がトイレットペーパーなんて見向きもしなかった平時から有事に備えて少しずつ蓄えていた人、そういった人達はこのパニックを悠々と高みの見物だろう。
これぞまさに人の行く裏の道。
投資の世界でも現実の世界でも、パニックとなった群衆の心理は大抵の場合、事態を間違えた方向へと導く。
それを上手く利用して悪いオトナ達が一山稼ぐ。
だから決してイナゴになってはいけない。
暴走して金を無くすだけならまだしも、命まで無くしてしまっては元も子もない。
最後に相場の格言をもう一つだけ。
「休むも相場」
投資家の取れる行動には売ること、買うこと以外にもう一つ、何もせずに静観するという手がある。
静観とは、安全なポジションから世の動向をじっくり見定めるということ。
そして今こそがまさに静観の時。
正しい情報を収集しながら、いざという時に素早く動ける準備をしておこうと思う。
投資に関しても、コロナに関しても。